「残念ですね、伊沢さん」「残念ですね♪」
高校後輩を真似する大学後輩の笑顔はそこまで小悪魔的じゃなかったが、眼鏡の奥には似たようなキラキラがある。
彼はため息をして、しようがなく降参のポーズを取った。
「はいはい、俺の負け。勝者に一つの願いって何が欲しい?」
「それはお預けにします」「一つ貸しですよ」
後輩たちあざとく笑いやがった。考えてないんかい。
上手く行ったな。
うん、やったね。
叶って貰わなければチャラにはならない。
人と極力関わらない先輩の事だから、こっちから繋がりを作らなきゃね。
これで永遠と続けられる、「一生の」お願い。